トレーニング用語集 - 王道パーソナルトレーナー藤原豊樹

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神経系の興奮水準【excitation level of nerves】

2011年08月24日 [記事URL]

筋力が筋横断面積と比例し、両者の関係にはバラつきがあり、筋横断面積当たりの筋力(固有筋力)の値は変動します。

これは、人間が随意的に発揮する最大筋力(随意最大筋力)が、大脳皮質運動野の興奮レベルの影響を受けるためであり、これを神経系の興奮水準と呼びます。

骨格筋の生理的な最大能力までの筋力発揮を制限する機構の存在が示唆されており、大きな筋力発揮による筋損傷を防ぐことに関係していると考えられています。

いわゆる火事場の馬鹿力は、緊迫した状況において神経系の興奮水準が一時的に高まる現象として説明される。

ウエイトリフターなど、爆発的な筋力発揮を日常的に行っているスポーツ選手は、関節運動中の神経系の興奮水準が高いことが報告されています。

レジスタンストレーニング初期の筋力の増加は筋横断面積の増加よりも大きいが、これは神経系の興奮水準が高まることが原因の1つであり、神経系の適応と呼ばれます。



協働筋とは【synergist muscle】

2011年08月24日 [記事URL]

関節は複数の骨格筋がまたいでいることが多く関節運動(関節の回転)は、これらの筋群の収縮によって行われています。

関節の特定の動きに対して、同様の機能をもつこれらの筋群を協働筋(共働筋)と呼びます。

肘関節の屈筋運動で例えると、上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋の3筋が主として肘関節屈曲に働くため、これらは肘関節屈曲の協働筋です。

協働筋のうち、関節トルクに最も大きく貢献する骨格筋を主働筋と呼び、肘関節屈筋群の場合、上腕二頭筋が主働筋です。

また、関節を反対方向に回転させる筋群は拮抗筋と呼ばれ、肘関節の場合、上腕三頭筋が肘関節屈筋群の拮抗筋となります。

これらの協働筋と拮抗筋によって関節運動というものは行われているのです。



固有筋力【specific tension】

2011年08月24日 [記事URL]

筋力は筋横断面積に比例するという前提で、筋力を筋横断面積で除した値を固有筋力と呼びます。

厳密には、腱張力が筋線維横断面積の総和、すなわち生理学的筋横断面積に比例することから、腱張力を生理学的筋横断面積で除したものが固有筋力であり、これを人間で求めるためには、関節トルクから腱張力を推定するとともに、関節トルク発揮に関わる筋群の生理学的筋横断面積を求める必要があります。

かつては「絶対筋力」と呼ばれていましたが、近年は英文名であるabsolute strengthに代わってspecific tensionが国際的に用いられるようになってきた経緯から名称が変更されました。しかしながら、その概念は同一です。

人間の発揮筋力は神経系の興奮水準の影響を受けているので、固有筋力を求める場合にはこの点に留意する必要があります。



健康寿命

2011年08月24日 [記事URL]

健康寿命(healthy life expectancy)とは、人の生物学的寿命のうち、自立した活動的な生活を維持できる期間を意味します。

要介護や寝たきりにならない、日常生活動作(ADL)を維持する、といった身体機能面に加え、良好な生活の質(QOL)が維持される期間を健康寿命と言い換えることもできます。

高齢期になっても心身ともに健康を保ち、生き生きと暮らす健康寿命を維持するためには、ライフステージに対応した健康づくりを自ら心がけることが重要である。

つまり、日頃より健康づくりの意識を持ち、健康管理に努めることによって、心身機能は良好に維持できます。

また、適度な運動の習慣化は、生活機能や体力の水準を維持し、ひいては健康寿命の延伸にもつながります。

そのためにも、健康づくりの機会と場を充実させ、疾病予防の大切さが伝わることが重要です。
また、要介護状態とならないための支援策の充実を図ることも必要です。



筋パワー【muscle power】

2011年08月24日 [記事URL]

筋パワーとは、最大努力のもとで筋活動により爆発的に発揮される力学的パワーないし短時間内に多くの力学的エネルギーを発揮する能力として定義されています。

本来は、単一の骨格筋が収縮しているときの発揮張力と収縮速度の積によって求められます。

単関節運動中の発揮パワー(関節トルク×関節角速度)や、垂直跳びや脚伸展動作などの多関節運動中の発揮パワー(発揮能力×動作速度)をもって筋パワーとする場合もありますが、これらは関節パワーとも呼ばれるものです。

力の要素だけに注目した筋力に対して、筋パワーは速度の要素も加味しているため、スポーツパフォーマンスや日常の身体運動の遂行能力との関連性が高いと考えられています。



筋収縮のメカニズム

2011年08月24日 [記事URL]

筋収縮のメカニズム(mechanisms of muscle contraction)における骨格筋の最小機能単位はサルコメア(筋節)であり、収縮に携わる細い線維(主としてアクチンからなり、アクチン線維とも呼ばれる)と太い線維(主としてミオシンからなり、ミオシン線維とも呼ばれる)が含まれます。

アクチン線維とミオシン相互作用によって収縮が行われています。
ATP(アデノシン三リン酸)の分解に発生する化学的エネルギーが、ミオシン頭部とアクチン線維との間で生じる力学的エネルギーに変換されます。

ミオシン線維とアクチン線維との結合部はクロスブリッジ(連結橋)と呼ばれ、クロスブリッジの数が多いほど発揮張力が大きいです。

クロスブリッジの数はアクチン線維とミオシン線維のオーバーラップの度合いや、収縮状態(収縮レベルや収縮速度)によって異なります。

サルコメアは数万個直列に連なって筋原線維を構成するので、個々のサルコメアの収縮量や収縮スピードが数万倍に増幅されて筋線維の収縮を引き起こします。



最大酸素摂取量

2011年08月23日 [記事URL]

最大酸素摂取量(maximal oxygen uptake:VO2max)とは、有酸素エネルギーを作り出せる最大値です。

酸素摂取量は運動強度の増大に伴って直線的に増加します。
しかしながら、どこまでも増加し続けるわけではなく、やがて運動強度が増大しても酸素摂取量は増加しなくなります。

この酸素摂取量の最大値を最大酸素摂取量と名付けたのは、1922年のノーベル医学・生理学賞受賞者のヒル(A.V. Hill)です。

有酸素性作業能の指標として広く用いられており、絶対値(ℓ/分)と相対値(mℓ/kg/分)で表される。

絶対値は組織量の多い(身体の大きい)人ほど大きくなるので、個人間の比較では体重で除した相対値を用いることが多い。

一般成人では男性50mℓ/kg/分、女性40mℓ/kg/分程度であるが、マラソンなどの全身持久系競技者では、70-85mℓ/kg/分にも達する。



カルボーネン法

2011年08月23日 [記事URL]

カルボーネン法(karvonen method)とは、年齢に応じた運動強度を推定する設定方法です。

全身持久力を改善させることを目的として、
米国スポーツ医学学会(ACSM:American College of and Sports Medicine)は有酸素トレーニングを推奨しています。

トレーニング指標に多用されているのはカルボーネン法です。

カルボーネン法は、
最高心拍数 (220拍ー年齢)から安静時心拍数を引き、心拍数予備を算出します。

心拍数予備の50~85%(ACSMの推奨範囲)を安静時心拍数に加え、目標心拍数を算出します。

目標心拍数範囲=【(最高心拍数−安静時心拍数)×0.50−0.85】+安静時心拍数となります。


例えば対象の年齢が40歳、安静時心拍数が60拍/分とし、最高心拍数は220−40=180拍/分と推定することができます。

よって、
【(180-60)×0.50−0.85+60】の式となり、目標心拍数範囲は120−162拍/分となります。

ただし、この例の場合、もし運動療法(肥満や高血圧の改善)として用いる場合、安易にこの数値を守る必要はありません。

全く運動習慣がなかった方が定期的に適度な運動が大切ですが、最初は最も低い120拍/分までを目安に運動を実践するのが良いでしょう。

体が慣れてくると少し運動量を増やしても、すぐに120拍/分を上がらなくなります。

運動種目はウォーキング、ジョギング、水中ウォークなど、
まずはどれでも3ヶ月続けられること目指して運動種目を選択して下さい。

楽な運動でも毎日続けられるものを行なうことが大切なのです。

毎日30分のウォーキングを続けるなどの努力次第で、高血圧の方なら降圧剤の摂取を減らせることが期待できます。



全身持久力トレーニング【general endurance】

2011年08月23日 [記事URL]

持久性トレーニングは、
ある一定強度の運動を持続する能力を向上させることです。

その方法には、
ある運動を長く続けるために、
一部の筋が働く場合の筋持久力と、
多くの筋が同時に働く場合の全身持久力の大きく2つに分けられます。

後者は有酸素性エネルギー供給機構が重要な役割を果たしており、
呼吸循環器系および筋代謝系が深く関与します。

一般的に持久性トレーニングといえば、
全身持久力を向上させるためのトレーニングを指すことが多く、
ここでは全身持久力のトレーニングについて述べます。

全身持久力トレーニングは、
活動筋の酸素摂取能を向上させることが目的です。

酸素摂取能力は酸素運搬能力と酸素利用能力によって決まります。

持久力トレーニングの酸素運搬能力への効果としては肺換気量、
心拍出量および活動筋への血流量の増加があげられます。

また呼吸筋に対しても刺激を与えることから、
肺換気量が増加し、酸素を含んだ大気を大量に取り込めるようになります。

さらに、
心筋の機能向上や左心室内径の増大により一回拍出量が増加します。

活動筋の毛細血管数(毛細血管密度)が増し、
活動筋への血流量が増加する一方、
酸素利用能力への効果は、
コハク酸脱水素酵素(SDH)などの筋の酸化酵素活性の向上や、
エネルギー産生部位であるミトコンドリアの数の増加による有酸素的代謝の促進などがあげられます。

また、
前述した毛細血管数の増加は、
末梢血管の総面積を増加させることになり、
活動筋への酸素の拡散量が増大しますので、
筋での酸素の抜き取りを容易にすることになります。

さらに毛細血管数の増加は、
筋での代謝産物の除去や熱の移動(身体の深部から表面へ)にも貢献し、
運動の持続を助けることにもなります。

持久力トレーニングによって酸素性作業闘値(AT)も向上し、
最大酸素摂取量が変化しなくても、
ATの向上により持久的なパフォーマンスが高まります。



骨格筋の機能【function of skeletal muscle】

2011年08月23日 [記事URL]

骨格筋はエンジンにたとえることができます。

すなわち、燃料にあたるATP(アデノシン三リン酸)の分解によって生じる化学的エネルギーを力学的エネルギーに変換する装置として考える事ができます。

エンジンとは異なり、筋肉の内部では筋線維が長軸方向に収縮しながら力発揮を行います。
骨格筋は随意的に収縮することができ(随意筋)、この点で内蔵の平滑筋や心筋(不随意筋)とは異なっています。

また、収縮のために特化した構造が整然と配置されており、
この構造も平滑筋や心筋とも異なりますが、収縮の分子機構は類似しています。

骨格筋の最大の機能は収縮して力を発揮することですが、このほかにも収縮時に発生する熱を通じて体温の産生源ともなっています。

また、収縮による内圧によって骨格筋内に張り巡らされた動静脈の系を変化させることを通じて、体内の血液循環にも寄与します(筋ポンプ作用)。

収縮によって分解されるATPの再合成のためのエネルギー基質(糖質、脂質)を外部から取り入れるほか、内部にも貯蔵します。

骨格筋内の筋線維(筋細胞)には大きく2つのタイプがあり、遅筋線維(Ⅰ型線維)と速筋線維(Ⅱ型線維)と呼ばれています。

遅筋線維は糖質および脂質の有酸素的な分解をATP再合成のためのエネルギー源とし、収縮速度は遅いが疲労耐性が高く、一方の速筋線維はATP再合成に主として糖質の無酸素的な分解を用い、収縮速度は速いが疲労しやすいなどの特徴があります。

人間の骨格筋の場合、両者が一定の割合でモザイク状に配列しており、その割合(筋線維組成)には個人差があります。

骨格筋の発揮する力は収縮時の筋長や収縮速度によって変化し、それぞれ、力−長さ関係、力−速度関係と呼ばれています。

骨格筋は骨に付着して関節を動かす(関節の回転力を発生する)ことを通じて身体運動の発生源となります。

通常、関節には複数の骨格筋が配置され、恊働筋と呼ばれ、恊働筋と拮抗筋によって関節運動が行われます。

人体の約600個の骨格筋はいずれも中枢神経によって収縮のタイミングや力や大きさ、収縮量が巧みにコントロールされているのです。




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